歴史

なぜ地図は「北が上」なのか——方位の標準化と、そうでない地図の歴史

地図の北が上なのを私たちは当たり前と思っていますが、国土地理院でさえ「確たる定説はない」としています。中世ヨーロッパでは東が上、イスラム圏では南が上。方位が北へそろっていった歴史と、いまも残る「逆さ地図」をたどります。
歴史

兵庫県はなぜ五つの国からできているのか——摂津・播磨・但馬・丹波・淡路と、神戸を分ける国境

神戸市は一つの市でありながら、須磨と垂水のあいだで摂津国と播磨国に分かれている。その境は古代の大化の改新までさかのぼり、いまも区境に残る。さらに兵庫県は摂津・播磨・但馬・丹波・淡路という五国の寄せ集め——歴史も風土も違う土地が一県になった理由は、神戸港にあった。
歴史

西国街道とは何だったのか——山陽道の別名と、国道2号に重なる神戸・兵庫の道

神戸の街なかを貫く国道2号は、その多くが江戸時代の西国街道と重なっている。古代の山陽道を引き継いだこの脇街道は、名前すら一定しない不思議な道だった。兵庫津では繁栄ゆえに直角に折れ曲がる。神戸・兵庫を通った西国街道の来歴をたどる。
言葉

句読点はいつ生まれたのか——奈良時代の一点から、「マルハラ」の令和まで

句点や読点の打ち方を定めた法律は、実は存在しません。奈良時代の写本に残る一点、宗教儀礼の符号、蘭学者が伝えたコンマとピリオド、明治の「句読法案」、令和の公用文改定を経てもなお、句読点に唯一の正解はない。その空白が2024年、「マルハラ」という新しい言葉を生みました。
科学

夕焼けはなぜ赤いのか——青空をつくる散乱が、赤い夕空も生むわけ

夕焼けの赤と、昼の青空。正反対に見える二つの色は、じつはまったく同じ「レイリー散乱」という一つの現象から生まれます。違うのは、光が大気を通る距離だけ。なぜ青い光がよく散らばるのか、なぜ空は紫でなく青いのか、そして火星の夕焼けがなぜ青いのかまで、空の色の仕組みをたどります。
技術

半導体はなぜ「半」導体なのか——導体と絶縁体の「あいだ」が世界を動かす

半導体の「半」は、電気を半分しか通さないという意味ではありません。電気をよく通す導体と、ほとんど通さない絶縁体の「あいだ」にいる、という位置の話です。そのどっちつかずの性質こそが、スイッチにも増幅器にもなる。バンドギャップ、ドーピング、そしてなぜシリコンばかりが使われるのかをたどります。
技術

ダムはどうやって水を「ためる」のか——力をどこへ逃がすかで、形が決まる

ダムは水を「せき止める壁」ではありません。深いところで何トンもの力で押してくる水を、自分の重さ・両岸の岩・広い底のどこへ逃がすか——その答えの違いが、重力式・アーチ式・ロックフィルという形になります。黒部ダムが186メートルを守った経緯まで、ダムの力学をたどります。
言葉

「お」はいつから丁寧語になったのか——「大御」から「お酒」へ、うすれていく敬意

お酒、お料理、おにぎり。私たちは一日に何度も「お」を付けます。でもこの「お」、もとは天皇や神仏に向ける最上級の敬語でした。「大御(おほみ)」から始まった重い敬意が、千年かけてどう軽くなり、ついには言葉を美しく見せるだけの「美化語」になったのか。その道のりをたどります。
技術

電波はなぜ「周波数帯域」で用途が違うのか——長い波は遠くへ、短い波はたくさん運ぶ

潜水艦は超長波、5Gはミリ波。同じ「電波」なのに、周波数が違うだけで使い道はまるで変わります。低い波は地球を回り込んで遠くへ、高い波はまっすぐ飛んでたくさん運ぶ。その代わり遮蔽物に弱い。周波数帯ごとに用途が分かれる理由を、波の物理と電離層からたどります。
歴史

明石の子午線はなぜ「日本標準時」の基準になったのか——標準時が先に決まり、明石は後から名乗った

「明石に子午線が通るから、東経135度が日本の標準時になった」と思われがちですが、順序は逆です。先に東経135度が標準時と決まり、その線上にたまたま明石があった。しかも線が通る町は12もある。それでも明石が「子午線のまち」になったのは、地理ではなく、1人の数学者と、自腹で標識を建てた教員たちのおかげでした。