世界史

歴史

コーヒーはなぜ世界飲料になったのか——伝播・禁止・近代化の軌跡

コーヒーは広まるそばから何度も禁じられました。メッカでは異端の飲み物として弾圧され、ヨーロッパでは「悪魔の飲み物」と疑われ、ロンドンでは国王が店を閉じさせようとしています。エチオピアの1本の低木の実が、禁止と復活を繰り返しながら国際商品になるまで。為政者が本当に恐れたのは豆ではなく、人が集まる場所のほうでした。
言葉

漢字はどこから来たのか——甲骨文字から新字体・簡体字まで、3000年の歩み

いま私たちが書く漢字は、3000年あまりの変身の、いちばん新しい姿にすぎません。最古の漢字「甲骨文字」は、19世紀末まで「龍骨」という漢方薬として砕かれ飲まれていた。占いの記録から始まり、絵であることをやめ、海を渡ってかなを生み、いまは国ごとに違う形で使われている。漢字の3000年をたどります。
歴史

なぜ時計の針は右回りなのか——日時計と北半球が決めた方向

時計の針が右回りなのは物理法則ではなく、北半球の日時計の影が右へ回るのを機械式時計が受け継いだためです。フィレンツェやプラハには反時計回りの時計も残り、向きが一つの約束事にすぎないことを示しています。
歴史

シルクロードとは何だったのか——「道」ではなくネットワークだった交易路

ラクダの隊商が絹を積んで中国からローマへ——そんな一本道のイメージで語られがちなシルクロード。けれど「シルクロード」という名前自体が19世紀ドイツの命名で、実態は無数の経路が網の目状に絡む交易ネットワークだった。だれも端から端まで歩いていない中継交易、ソグド商人、運ばれたのは絹より思想だったという近年の見直しまで、名前と実態のずれをたどる。
技術

トンネルはどうやって掘るのか——山岳・都市・海底、三つの掘り方

山を貫く新幹線も、都市の地下鉄も、海底をくぐる青函トンネルも、掘り方はまるで違う。爆破した岩盤そのものに支えさせるNATM、フナクイムシをまねて壁を組み立てながら進むシールド、そして陸上で作って海に沈める沈埋工法。三つの発想の違いと、青函トンネルが海底なのに「山岳工法」で掘られた理由をたどる。
歴史

活版印刷はなぜ世界を変えたのか——グーテンベルクと情報革命の構造

活版印刷を発明したのはグーテンベルク、と習う。だが活字を組んで刷る発想は東アジアが数百年早く、金属活字の現存最古は1377年の朝鮮『直指』だった。ではなぜ「世界を変えた」物語の主役はマインツの金細工師なのか。刷る言語の構造、普及の速度、宗教改革という最初のメディア・イベント、そして都市の成長まで、技術が社会を動かした仕組みをたどる。
歴史

ペストはなぜヨーロッパを変えたのか——黒死病後に動いた賃金と信仰

黒死病は人口の激減を通じて中世ヨーロッパに何をもたらしたのか。労働力不足が農民の賃金を押し上げ、1351年の労働者規制令も止められなかった。一方で教会は無力をさらし、鞭打ち苦行やユダヤ人迫害も広がる。ペストが「変えた」ものと、すでに始まっていた変化とを、史料の論争もふくめてたどる。
歴史

和暦と元号——吉凶で改め、最後は法律で残した

「令和」で日本はおよそ248番目(数え方では232とも)の元号を迎えました。もとは古代中国で皇帝が時間まで支配する装置として生まれ、日本では645年の「大化」に始まります。めでたい瑞兆でも、災害や疫病でも、干支の巡りでも改元してきた歴史、明治の一世一元、戦後にいったん法的根拠を失い1979年の元号法で残った経緯、そして「永」が29回も選ばれた2字の縁起までをたどります。