情報通信

技術

インターネットはなぜ止まらないのか——分散設計と冗長性の思想

海底ケーブルが切れても、サーバが落ちても、インターネットは全体としてはなかなか止まりません。中央の管理者を持たず、経路が自律的に選び直される——その耐障害性は、核攻撃を生き延びる通信網という構想から始まりました。パケット交換から自律システム、エニーキャストまで、「止まらない」設計の系譜と、それでも時に広域障害が起きる理由をたどります。
技術

プログラミング言語はなぜたくさんあるのか——設計思想と用途分化の歴史

世の中にはプログラミング言語が1000以上あるといわれ、歴史をたどれば作られた言語は数千を超えます。なぜ一つに収束しないのか。科学計算のFORTRAN、事務のCOBOL、人工知能のLISP、UNIXを生んだC——最初期の4つがすでに別々の発想で生まれた経緯から、言語が用途ごとに枝分かれしてきた理由をたどります。
言葉

漢字にも方言がある——「垳」という文字が教える、土地と文字の関係

埼玉県八潮市にしかない一字「垳」。土へんに「行」と書いて「がけ」と読む。字源には二つの説があり、低地の水害の記憶が刻まれている。区画整理で消えかけたこの地名を救ったのは、よその土地の人だった。一字をたどると、文字と土地の思いがけず深い関わりが見えてくる。
歴史

活版印刷はなぜ世界を変えたのか——グーテンベルクと情報革命の構造

活版印刷を発明したのはグーテンベルク、と習う。だが活字を組んで刷る発想は東アジアが数百年早く、金属活字の現存最古は1377年の朝鮮『直指』だった。ではなぜ「世界を変えた」物語の主役はマインツの金細工師なのか。刷る言語の構造、普及の速度、宗教改革という最初のメディア・イベント、そして都市の成長まで、技術が社会を動かした仕組みをたどる。
言葉

句読点はいつ生まれたのか——奈良時代の一点から、「マルハラ」の令和まで

句点や読点の打ち方を定めた法律は、実は存在しません。奈良時代の写本に残る一点、宗教儀礼の符号、蘭学者が伝えたコンマとピリオド、明治の「句読法案」、令和の公用文改定を経てもなお、句読点に唯一の正解はない。その空白が2024年、「マルハラ」という新しい言葉を生みました。
技術

電波はなぜ「周波数帯域」で用途が違うのか——長い波は遠くへ、短い波はたくさん運ぶ

潜水艦は超長波、5Gはミリ波。同じ「電波」なのに、周波数が違うだけで使い道はまるで変わります。低い波は地球を回り込んで遠くへ、高い波はまっすぐ飛んでたくさん運ぶ。その代わり遮蔽物に弱い。周波数帯ごとに用途が分かれる理由を、波の物理と電離層からたどります。