経済史

歴史

コーヒーはなぜ世界飲料になったのか——伝播・禁止・近代化の軌跡

コーヒーは広まるそばから何度も禁じられました。メッカでは異端の飲み物として弾圧され、ヨーロッパでは「悪魔の飲み物」と疑われ、ロンドンでは国王が店を閉じさせようとしています。エチオピアの1本の低木の実が、禁止と復活を繰り返しながら国際商品になるまで。為政者が本当に恐れたのは豆ではなく、人が集まる場所のほうでした。
歴史

シルクロードとは何だったのか——「道」ではなくネットワークだった交易路

ラクダの隊商が絹を積んで中国からローマへ——そんな一本道のイメージで語られがちなシルクロード。けれど「シルクロード」という名前自体が19世紀ドイツの命名で、実態は無数の経路が網の目状に絡む交易ネットワークだった。だれも端から端まで歩いていない中継交易、ソグド商人、運ばれたのは絹より思想だったという近年の見直しまで、名前と実態のずれをたどる。
歴史

活版印刷はなぜ世界を変えたのか——グーテンベルクと情報革命の構造

活版印刷を発明したのはグーテンベルク、と習う。だが活字を組んで刷る発想は東アジアが数百年早く、金属活字の現存最古は1377年の朝鮮『直指』だった。ではなぜ「世界を変えた」物語の主役はマインツの金細工師なのか。刷る言語の構造、普及の速度、宗教改革という最初のメディア・イベント、そして都市の成長まで、技術が社会を動かした仕組みをたどる。
歴史

ペストはなぜヨーロッパを変えたのか——黒死病後に動いた賃金と信仰

黒死病は人口の激減を通じて中世ヨーロッパに何をもたらしたのか。労働力不足が農民の賃金を押し上げ、1351年の労働者規制令も止められなかった。一方で教会は無力をさらし、鞭打ち苦行やユダヤ人迫害も広がる。ペストが「変えた」ものと、すでに始まっていた変化とを、史料の論争もふくめてたどる。
歴史

平清盛はなぜ神戸に港を作ったのか——都に近い港と、海に沈めた経文の石

平清盛は私財を投じて神戸の港・大輪田泊を整えました。船を悩ませた南東の風をふせぐため、海に石を沈めて人工島まで築いています。狙いは、宋の船を博多で止めず瀬戸内海の奥、都のすぐ近くまで引き込むこと。法皇に宋人を引き合わせて貴族を仰天させた賭けから、福原遷都の夢、清盛の死後に兵庫津・神戸港へと受け継がれた港の来歴までをたどります。