技術

冷蔵庫はなぜ冷えるのか——「冷やす」のではなく、熱を運び出す

冷蔵庫は「冷たさ」を作っているのではありません。庫内の熱を冷媒に載せて、外へ運び出しているだけです。打ち水と同じ気化熱を使い、圧縮・凝縮・膨張・蒸発をぐるぐる繰り返す——だから背中は温かく、扉を開けっぱなしにしても部屋は冷えません。冷凍サイクルの原理と、冷媒がたどってきた意外な歴史をたどります。
科学

なぜ飛行機雲はできるのか——氷の雲が残るか消えるかを決めるもの

青空に1本、まっすぐ引かれる飛行機雲。煙のように見えて、その正体は氷の粒でできた雲です。エンジンの排気に含まれる水蒸気が、上空の極寒の空気で凍りつく——ここまでは同じでも、すぐ消える雲と、空いっぱいに広がって残る雲に分かれます。その分かれ目を決めているのは飛行機ではなく、空のほうでした。飛行機雲のでき方と、そこから天気まで読める理由をたどります。
歴史

万里の長城はなぜ作られたのか——「壁」の効果と限界をめぐる2000年

北の遊牧民をはね返すための一枚の巨大な壁——万里の長城には、そんな像がつきまといます。けれど実際には、2000年をかけて幾つもの王朝が継ぎ足した壁の集まりで、防御だけでなく交易や人の出入りを管理する装置でもありました。効いたのか、効かなかったのか。最後にこの壁を越えさせたのは誰だったのか。壁をめぐる長い歴史をたどります。
科学

なぜ建物は地震で倒れるのか——共振・液状化・層崩壊のしくみ

同じ地震でも、倒れる建物と、すぐ隣で平気な顔で立っている建物があります。違いは単純な「丈夫さ」ではありません。揺れと建物の周期が一致して増幅される共振、足元の地盤が液体のようになる液状化、力が一つの階に集まって潰れる層崩壊。建物が倒れる三つのしくみを、阪神・淡路大震災の教訓とともにたどります。
言葉

「標準語」はいつ生まれたのか——方言と共通語のあいだ

わたしたちがふだん「標準語」と呼ぶ言葉は、それほど古いものではありません。明治の国づくりのなかで、東京の教養層の話し方を手本に人工的に整えられたものでした。上田万年の主張から、方言を札で罰した時代、そして戦後に「共通語」へと呼び名が変わるまで。標準語という言葉が生まれ、やがて避けられていく経緯をたどります。
技術

インターネットはなぜ止まらないのか——分散設計と冗長性の思想

海底ケーブルが切れても、サーバが落ちても、インターネットは全体としてはなかなか止まりません。中央の管理者を持たず、経路が自律的に選び直される——その耐障害性は、核攻撃を生き延びる通信網という構想から始まりました。パケット交換から自律システム、エニーキャストまで、「止まらない」設計の系譜と、それでも時に広域障害が起きる理由をたどります。
言葉

「〜的」はいつから日本語に入ったのか——明治の翻訳語が変えた語感

「科学的」「経済的」「個人的」——日常にあふれる「〜的」は、明治の翻訳語として広まった接尾辞でした。英語の形容詞語尾に音の近い漢字1字を当て、西周が使い始め、1881年の『哲学字彙』を機に学術語として定着していきます。当初は硬く嫌われもしたこの1字が、やがて「私的には」と若者言葉になるまでの来歴をたどります。
言葉

送り仮名はなぜ揺れるのか——「行う」か「行なう」か、100年の試行錯誤

「行う」と「行なう」、どちらも誤りではありません。この揺れは気まぐれではなく、100年以上の国語施策が積み重ねた結果です。少なく送った戦前、送りすぎを批判された昭和34年の告示、そして昭和48年に「本則」と「許容」という2層構造が生まれるまで。送り仮名の統一をめぐる試行錯誤と、それでも揺れが消えない理由をたどります。
言葉

「東西南北」はなぜその順番なのか——方位語の起源と世界の違い

「東西南北」と一息に唱えるあの順番は、世界共通ではありません。英語は北から時計回りに数え、麻雀の牌は東南西北。そもそも「みなみ」「きた」の語源は、辞書を引いても説が割れて定まっていない。方位を言い表す順番と言葉の由来から、それぞれの文化が何を基準に世界を眺めてきたかをたどります。
技術

プログラミング言語はなぜたくさんあるのか——設計思想と用途分化の歴史

世の中にはプログラミング言語が1000以上あるといわれ、歴史をたどれば作られた言語は数千を超えます。なぜ一つに収束しないのか。科学計算のFORTRAN、事務のCOBOL、人工知能のLISP、UNIXを生んだC——最初期の4つがすでに別々の発想で生まれた経緯から、言語が用途ごとに枝分かれしてきた理由をたどります。