物理学

技術

電波はなぜ「周波数帯域」で用途が違うのか——長い波は遠くへ、短い波はたくさん運ぶ

潜水艦は超長波、5Gはミリ波。同じ「電波」なのに、周波数が違うだけで使い道はまるで変わります。低い波は地球を回り込んで遠くへ、高い波はまっすぐ飛んでたくさん運ぶ。その代わり遮蔽物に弱い。周波数帯ごとに用途が分かれる理由を、波の物理と電離層からたどります。
科学

色はどこにあるのか——物体でも光でもない、知覚という答え

「色はどこにあるのか」——物体の表面でも、光の中でも、厳密にはない。波長を選別する物体・照明光のスペクトル・観察者の神経処理という三者の関係の中にのみ成立する知覚として、色の正体をたどる。
科学

飛行機はなぜ空を飛べるのか——「同時に出会う」という誤解と、空気を下へ曲げる翼

翼の上面は遠回りだから空気が速くなる——よく聞くこの説明は、前提のほうが間違っています。上面の空気はむしろ先に後縁へ着く。揚力を「空気を下へ曲げる反作用」と「翼を回る循環」から捉え直し、データを疑って飛んだライト兄弟の話までたどります。
科学

台風はなぜ日本に来るのか——高気圧のへりを回って、偏西風に捕まるまで

台風は毎年のように日本へやってきます。地図の上で気ままに蛇行しているように見えますが、その進路は偶然ではありません。貿易風で西へ流され、太平洋高気圧のへりを回り、最後は偏西風に捕まって東へ折れる——三つの風に乗る道筋に、台風自身が北西へにじり寄るクセまで重なって、あの曲線は引かれます。なぜ夏と秋で道が変わり、春や冬には来ないのか。台風の進路を決める気圧配置の構造をたどります。
科学

地震の「マグニチュード」と「震度」は何が違うのか——「1」増えると、エネルギーは32倍

地震速報の「マグニチュード」と「震度」を、なんとなく同じものだと思っていないでしょうか。マグニチュードは地震そのものの規模で、一つの地震に一つだけ。震度は各地点の揺れの強さで、場所ごとに変わります。マグニチュードは対数の尺度で、1増えるとエネルギーは約32倍。巨大地震では頭打ちするため、東日本大震災は速報M7.9が最終的にMw9.0へと修正されました。二つの尺度が何を測っているのかを、物理から整理します。
科学

原子時計はなぜそんなに正確なのか——地球の自転をやめ、原子の振動に「1秒」を預けるまで

いまの「1秒」は地球の自転ではなく、セシウム原子が約92億回振動する時間で定められています。原子時計が桁外れに正確なのは、原子の振動には個体差も経年変化もないから。レーザーで原子を冷やすセシウム原子泉時計、光で刻む光格子時計、そして原子核を使う次世代時計まで、「1秒」を地球から原子へ、さらにその先へ預けてきた歩みと、その正確さがGPSや通信を支えるしくみをたどります。
技術

なぜ橋は落ちないのか——圧縮と引張を振り分ける、力の通り道の設計

橋が落ちないのは、材料が頑丈だからというより、力をどこへ流すかが設計されているからです。押す力(圧縮)と引く力(引張)をどう振り分けるか——アーチ、トラス、ケーブルという形の違いはここから生まれます。明石海峡大橋の1メートルの来歴から、開通4か月で崩れ落ちたタコマ橋の教訓まで、橋が立っている理由をたどります。
科学

色はなぜ見えるのか——光そのものに色はない、という出発点

赤いリンゴの赤は、物にも光にも存在しない——ニュートンはそう見抜きました。可視光の波長、物体の反射と吸収、3種類の錐体、脳の処理。色が立ち上がるしくみを、同じ服が白金にも青黒にも見える色の恒常性や、ヒト以外の動物の色覚、色覚の進化までたどります。
技術

GPSはなぜ「ずれる」のか——わざと狂わせて打ち上げる、衛星の原子時計

スマートフォンが当たり前に現在地を示す裏側で、GPS衛星の原子時計は打ち上げ前からわざとずらして設定されています。速く動く時計は遅れ、重力の弱い上空では速く進む——特殊・一般相対性理論の二つの効果が逆向きに働き、差し引き1日およそ38マイクロ秒。補正しなければ位置は1日で約10kmもずれてしまう、日常に隠れた相対論の話。
科学

惑星の色はどう決まるのか——空の青、火星の赤、取り違えられた氷惑星の青

「青い地球」「赤い火星」「濃紺の海王星」——惑星の色は何で決まるのか。大気の散乱、水や鉱物による吸収、メタンとヘイズという複数の要因から太陽系の色をたどると、あの深い海王星の青が半ば画像処理の産物だったという近年の発見にも行き着く。