言語学

言葉

地名に残る港の言葉——「津」「泊」「浦」「湊」が描く海の地図

大津、博多、津々浦々——日本の地名には、船が泊まった場所を指す古い言葉がいくつも残っています。「津」「泊」「浦」「湊」。よく似た意味の四語が、地図の上ではきれいに違う場所に散らばる。その分布をたどると、古代の海の道がうっすら浮かび上がってきます。
言葉

カタカナ語はなぜ定着するものと消えるものがあるのか——クラスターは残り、オーバーシュートは消えた

新しいカタカナ語は次々と生まれますが、定着して辞書に残るものと、数年で消えるものがあります。両者を分けるのは何でしょうか。コロナ禍の「クラスター」と「オーバーシュート」の明暗を入り口に、言い換えがきかない・語彙の中に居場所がある・日本語の口に合う長さに縮む・意味が育つ、といった生き残りの条件をたどります。戦時中の敵性語排斥や国立国語研究所の言い換え提案からは、言葉を上から操作することの難しさも見えてきます。
歴史

「天皇」はいつ生まれたのか——「大王」から改めた7世紀と、定説を動かした木簡

「天皇」という称号は最初からあったわけではありません。7世紀まで、日本の王は「大王(オオキミ)」と呼ばれていました。いつ「天皇」へ変わったのかは長く論争で、推古朝説と天武朝説が対立してきました。流れを変えたのが飛鳥池遺跡から出た木簡です。遣隋使の国書、唐の高宗、道教の北極星、そして律令と明治の法制化まで、一つの称号が生まれ定着するまでをたどります。
言葉

日本語の数え方はなぜ複雑なのか——和語と漢語、形と命で分かれる単位

鉛筆は1本、紙は1枚、犬は1匹、鳥は1羽。日本語の数え方は、ものの形や性質によって単位を変える。その種類は一説に約500種類。和語と漢語の二系統が混ざり、牛が「頭」になったのは明治以降、ウサギが「羽」の理由には決め手がない。複雑さの正体を、由来と諸説からたどる。
言葉

旧国名はなぜ今も生き残っているのか——法令で消えなかった名前と、県境とずれる国のかたち

「信州そば」「伊予柑」「薩摩芋」——どれも明治に役割を終えたはずの旧国名を冠している。けれど令制国は、実は法令で廃止されたことが一度もない。廃藩置県で消えたのは藩であって国ではなかった。名前がしぶとく残る理由と、今の県境からはみ出す旧国境のずれをたどる。